3話 学園祭、運命のステージ「デブから国民アイドルへ:システムで最強スター誕生」

デブから国民アイドルへ:システムで最強スター誕生2026-04-30 12:36:41

3話 学園祭、運命のステージ「デブから国民アイドルへ:システムで最強スター誕生」

三日間のトレーニングが終わった。
朝、目覚めた瞬間、システムの通知が表示された。
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【ミッション達成】
目標体重:73kg以下
現在体重:72.5kg
達成報酬:
・ボーカルスキルLv.1 解放
・魅力オーラ(弱) 獲得
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『おめでとうございます、宿主様』
『第一章のミッションを達成しました』
俺は鏡の前に立った。そして、息を呑んだ。
——誰?
鏡に映ったのは、見知らぬ少女だった。いや、俺自身だ。でも、三日前の俺とは別人のように見える。
顔のラインがシャープになった。二重あごが消え、顎の線がくっきりと浮き出ている。目が大きく見える。いや、目の大きさは変わっていない。ただ、顔の余白が減ったから、相対的に大きく見える。
(これが……俺?)
『魅力オーラ(弱)が発動しています』
『周囲の者に、宿主に対する好感度が上昇します』
『効果範囲:半径3メートル』
『持続時間:常時発動(抑制可能)』
俺は制服を着た。三日間でサイズが変わり、制服が少し緩くなっていた。ベルトを絞めて、学校へ向かう。
電車の中で、明らかに視線を感じた。
いつもの蔑みの視線じゃない。興味を持った視線。時々、振り返る視線。
「ねえ、あの子どこの学校?」
「知らない。でも、かわいいよね」
隣の女子生徒たちの会話が耳に入った。俺は俯き、スマホの画面を見つめた。
(俺が……かわいい?)
信じられない。三日間で、世界が変わった。
学校に着くと、いつものように教室へ向かおうとした。でも、廊下で突然呼び止められた。
「あ、あの! すみません!」
振り返ると、見知らぬ男子生徒が立っていた。赤面しながら、何かを差し出してくる。
「これ、もしよかったら……!」
手渡されたのは、封筒だった。ラブレター? いや、違う。封筒を開けると、そこには「学園祭実行委員会」と書かれていた。
「文化委員の山田です。実は、学園祭のダンスパフォーマンスの出場者が急病で欠席してしまって……代わりに出てくれる人を探しているんです。もしよかったら、ぜひ!」
(……え?)
俺は固まった。ダンスパフォーマンス? 俺が? 人前で?
「あ、いや、私なんかよりもっと適任の人が……」
「いえ、先輩に頼まれたんです。あなたのことを」
「先輩に?」
「はい。先日、屋上でダンスの練習をしているのを見かけたそうで。すごく上手だったって」
(屋上で練習……?)
ああ、そうだ。昨日の夜、屋上でシステムの特訓を受けていた。誰かに見られていたのか。
「お願いします。明日の学園祭なんです。他に頼める人がいなくて……」
男子生徒は必死の顔で懇願してくる。俺は迷った。
(出る? 出ない?)
三日前の俺なら、絶対に断っていた。人前に出るなんて、ありえない。笑われる。いじめられる。
でも、今は違う。
『宿主様、チャンスです』
『ボーカルスキルLv.1が解放されています』
『この機会に、実力を試してみては?』
システムの声が背中を押してくれる。
「……わかりました」
俺は小さく頷いた。
「出ます。そのパフォーマンス」
男子生徒の顔がパッと明るくなった。
「本当ですか!? ありがとうございます!」
「でも、曲とか振り付けとか、教えてもらえますか?」
「もちろん! 放課後、音楽室でお待ちしています!」
男子生徒は嬉しそうに走り去った。俺は、自分が何を引き受けたのか、まだ実感が湧かなかった。
(本当に……出るのかな)
でも、ドキドキしている。怖いけど、期待もしている。
放課後、音楽室に向かうと、そこには男子生徒と、あと一人、女性の先生がいた。
「あ、来た来た。小百合さんだっけ? 私、音楽の田中。よろしくね」
田中先生は親しげに笑った。
「まず曲だけど、『Butterfly』っていう曲でいい? 最近流行ってるやつ」
「はい、知ってます」
実は、俺はこの曲が大好きだった。何度も何度も聴いて、鏡の前で踊った曲だ。
「振り付けはこんな感じ。覚えられる?」
田中先生が簡単な振り付けを見せてくれる。システムの特訓のおかげか、俺は一発で覚えた。
「……え、もう覚えたの?」
「はい。大体」
「嘘でしょ。見せてもらっていい?」
俺は曲に合わせて踊り始めた。最初は緊張した。でも、体が勝手に動く。システムが教えてくれた動きが、自然に出てくる。
一曲終わると、田中先生は目を丸くしていた。
「……すごい。本当に三日で覚えたの? いや、これは三日じゃない。何年も練習してるレベルよ」
「そんな……」
「本番、絶対盛り上がるわ。期待してるからね!」
田中先生は興奮気味に言った。
その夜、家に帰ってからも、俺は鏡の前で練習を続けた。システムの特訓メニューも併用しながら。
『ボーカルスキルLv.1、起動します』
『歌唱力が基準値を上回っています』
『本番では、さらなるパフォーマンスが期待できます』
俺は歌いながら踊った。声が、いつもより出やすい。音程も、リズムも、完璧に取れる。
(これが……才能?)
いや、才能じゃない。システムの力だ。でも、それを受け入れて、使いこなすのは俺自身だ。
翌日、学園祭当日。
俺は朝から緊張で胃が痛かった。トイレに何度も駆け込み、深呼吸を繰り返す。
『落ち着いてください、宿主様』
『あなたには実力があります』
『あとは、ステージを楽しむだけです』
楽しむ……。そうだ。これは、俺がずっと夢見ていたことなんだ。
ステージに立つ。歌う。踊る。みんなの前で。
(楽しもう)
俺は自分に言い聞かせた。
パフォーマンスは午後三時。体育館のステージだ。
その時間が近づくにつれて、体育館は人で溢れ始めた。学園祭の目玉イベントとして、多くの生徒が集まってきた。
「ねえ、ダンスパフォーマンスって何?」
「知らない。誰が出るんだっけ?」
「聞いた話だと、二年の小百合っていう子らしいけど」
「小百合? 誰それ?」
「知らない。どっかのクラスの子じゃない?」
俺はステージ袖で、そんな会話を聞いていた。誰も、俺のことを知らない。いや、知っているはずなのに、気づいていない。
(いいんだ。これでいい)
新しい始まりだ。
「次の出場者、二年A組、小百合さんです!」
司会者の声が響いた。
俺はステージに上がった。スポットライトが眩しい。客席は暗くて、顔は見えない。でも、多くの視線を感じる。
(……行くぞ)
音楽が流れ始めた。
俺は歌い始めた。最初は小さな声だった。でも、すぐに声が出てくる。体が動く。システムの力と、三日間の特訓と、長年の練習が、一つになった。
一曲終わる頃には、体育館は静まり返っていた。
そして——
「わあああああああっ!!」
爆発的な歓声が上がった。
「すごい! 誰あの子!?」
「マジで上手いんだけど!」
「可愛い! 超可愛い!」
スマホの画面が一斉に俺を向けられた。無数のカメラが、俺を捉える。
ステージ袖で、美咲が立っていた。目を見開いて、信じられないといった顔で、俺を見つめていた。
俺は、初めて——ステージの上で、笑った。
本当の、自信に満ちた笑顔で。
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